特集 外来診療・小外科マニュアル
Ⅹ.その他
143.在宅自己疼痛管理指導
蘆野 吉和
1
Yoshikazu ASHINO
1
1福島労災病院外科
pp.372-373
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903020
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診療報酬では“在宅自己疼痛管理”は,“難治性慢性疼痛の患者の疼痛除去のため植込型脳・脊髄刺激装置を埋め込んだ後に,在宅で自らが送信機を用いて疼痛管理を実施すること”と定義されている.しかし,一般外科医が日常診療で遭遇することの多い在宅疼痛管理は,癌性疼痛を持つ患者に対する疼痛管理であり,本稿ではこの疼痛管理について触れることとする.
癌性疼痛の治療においては“WHO方式”に従い,痛みの強さにより非オピオイド鎮痛薬・弱オピオイド鎮痛薬・強オピオイド鎮痛薬のいずれかを選択することになるが,最終的に強オピオイドであるモルヒネを使うことが多く,医師がこのモルヒネを使いこなせるかどうかが,患者自身にとって人生の大きな分かれ道となる.がんを扱う医師はモルヒネの適切な使用により,痛みを持つがん患者の9割以上が痛みという苦痛から解放され,自宅で安心して生活することができることを患者に説明し,自ら実践する使命がある.
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