増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅴ 消化器疾患治療薬
肝疾患
143.自己免疫性肝炎の薬物治療
西岡 幹夫
1
1香川医科大学・第3内科
pp.2102-2103
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221263
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自己免疫性肝炎は,免疫調節機構の異常によって,自己成分と反応するリンパ球クローンが増大した結果,発症する疾患といえよう.したがって,本症の治療には,抗炎症作用,ならびに免疫抑制作用をもつ副腎皮質ホルモン(adrenocortical hormone),また,メルカプトプリンの誘導体で,プリン代謝を阻害し,抗体産生を抑制するアザチオプリン(azathioprine)などの薬剤が使用される.一般的にプレドニゾン(pred-nisone),プレドニゾロン(prednisolone),またアザチオプリンとの併用療法が行われ,臨床症状を取り除き,血液生化学的異常所見や肝組織所見の改善,さらに,生存期間の延長が認められる.
これらの治療によって,症例の60%は3年以内に寛解し,90%の症例は5年以上生存する.しかしながら,症例のほぼ90%に副作用が認められ,時にはきわめて重症な症例も報告されてきた.自然寛解したり,進行性のきわめて遅い症例もあるので,治療の効果とそのリスクを考えながら,適応症例を選択するようにしたい.
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