特集 外来診療・小外科マニュアル
Ⅸ.乳幼児の外来外科疾患
126.乳児痔瘻・裂肛
韮澤 融司
1
Yuji NIRASAWA
1
1杏林大学医学部小児外科
pp.330-331
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903003
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A.乳児痔瘻
疾患の概念
外来を受診する乳児の肛門疾患として最も頻度が高い.肛門周囲の皮下の硬結・腫脹・発赤などを主訴として来院する.そのほとんどが男児で,生後6か月までの発症が多い1).膿瘍の貯留や瘻孔の開口部は肛門の側方に多く,数個が同時に発生することもある.このような特徴を持つ乳児痔瘻であるが,発生原因についてはいまだ定説がなく,肛門部皮膚付属器(汗腺,皮脂腺など)の感染から生じるという説2)と,肛門小窩(anal crypt)に形成された膿瘍から生ずる3)という2説に大別される.また局所免疫との関連を指摘する考えもある3).女児での発生は男児に比べると極端に少ないが,男児が側方に多く発生するのに比べ,12時方向,とくに膣前庭部や陰唇に開口し,先天性のperineal canalとの鑑別が困難である.
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