Japanese
English
手術手技
Snake retractorを用いた腹腔鏡下脾臓摘出術
Laparoscopic splenectomy by use of a flexible snake retractor
志村 英生
1
,
一宮 仁
1
,
吉田 順一
1
,
水元 一博
1
,
小川 芳明
1
,
田中 雅夫
1
Hideo SHIMURA
1
1九州大学医学部第1外科
キーワード:
腹腔鏡下手術
,
脾臓
,
特発性血小板減少性紫斑病
Keyword:
腹腔鏡下手術
,
脾臓
,
特発性血小板減少性紫斑病
pp.1331-1335
発行日 1996年10月20日
Published Date 1996/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902430
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はじめに
腹腔鏡下手術は術後の疼痛軽減や早期離床が得られることから腹部疾患に広く応用されているが,腹腔鏡下の脾臓摘出術(以下脾摘と略する)はその手技的な困難さ1),出血による開腹移行率の高さから二の足を踏まれる傾向にある.しかし特発性血小板減少性紫斑病(ITP)における脾摘の効果は高く2),さらに腹腔鏡下の脾摘であれば術後の疼痛が軽微で早期に社会復帰できるなどメリットがあり,工夫をしながら試みられているが3,4),標準術式の確立には至っていない.
我々は若い女性患者に多いITPの脾摘を,術後経過の良さや創の小ささを利点と考え,積極的に腹腔鏡下に行っている.これまでに13例のITP患者に術中の出血を避けるために脾門部血管を最後に一括処理する腹腔鏡下脾摘を試みたが,開始当初に2例の開腹移行例を経験し,そのいずれも手技的な問題がその原因であった。そこでその後手術法を改善し,術視野の展開を確保するためflexible snake retractorを用いて脾臓の脱転を行い,術視野の確保と剥離操作の迅速化から手術成績の向上を認めたので報告する.
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