Japanese
English
臨床報告 1
ITPに対する腹腔鏡下脾臓摘出術後に認められた下肢深部静脈血栓の1例
A case of lower limb deep vein thrombosis following laparoscopic splenectomy for idiopathic thrombocytopenic purpura
岩瀬 和裕
1
,
檜垣 淳
1
,
三方 彰喜
1
,
宮崎 実
1
,
西谷 暁子
1
,
上池 渉
1
Iwase Kazuhiro
1
1りんくう総合医療センター市立泉佐野病院外科
キーワード:
特発性血小板減少性紫斑病
,
脾臓摘出術
,
腹腔鏡
,
深部静脈血栓症
,
脾動脈塞栓
Keyword:
特発性血小板減少性紫斑病
,
脾臓摘出術
,
腹腔鏡
,
深部静脈血栓症
,
脾動脈塞栓
pp.127-130
発行日 2003年1月20日
Published Date 2003/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101321
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
手術後の肺塞栓症(pulmonary embolism,以下,PE)は致死率の高い合併症であり,塞栓子の80%以上は深部静脈血栓症(deep vein thrombosis,以下,DVT)に由来するとされている1).
欧米では,DVT発生率は開腹消化器系手術の7%,開腹胆嚢摘出術の1%,腹腔鏡下手術全体の0.33%,腹腔鏡下胆嚢摘出術の0.4~0.59%と報告されている2~4).本邦においてはPE,DVTはまれな合併症とされてきたが,腹腔鏡下手術の普及により,腹腔鏡下胆嚢摘出術後のPE,DVTの報告が散見されるようになってきている5~7).
近年,腹腔鏡下脾臓摘出術も標準術式の一つとなりつつあり,そのうちでも巨脾を伴わない特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura,以下,ITP)はよい適応とされている8,9).摘脾術後の反応性血小板数増加に際しては血栓性合併症併発の危険性がよく知られているが,ITPに対する摘脾術周術期には出血傾向に対する監視が優先されることが多い.欧米においては腹腔鏡下摘脾術周術期のDVT発生の報告が散見されるが8,9),本邦においてはITPに対する腹腔鏡下摘脾術周術期のPE,DVTの発生の報告は見当たらない.ITPに対する腹腔鏡下脾臓摘出術において,反応性血小板数異常高値を伴わない周術期にDVTの発生が認められた1例を経験したので報告する.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.