私の工夫—手術・処置・手順・20
食道癌の手術中に食道の口側切除線を決める方法
佐藤 美晴
1
Yoshiharu SATO
1
1甲南病院外科
pp.640
発行日 1996年5月20日
Published Date 1996/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902300
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食道癌の診断,治療は向上しており,早期食道癌には内視鏡的切除も行われている.一般に消化管の切除に際しては,手術中の病変部位診断は視診,触診で決定することになるが,深達度の浅い食道癌では,それも困難である.とくに右開胸で胸部上部食道Iu病変の切除,および左開胸で胸部中部食道Im病変を切除する際(根治性の確保が前提であるが,再建には残余の食道が長いほど手術手技上,有利である)にも,食道外膜からは癌腫の触診は困難で,従来は透視フィルムや内視鏡での食道入口部からの距離で決めたり,術中の内視鏡で口側切除線を決定していた.さらには,摘出標本を切開して肉眼で判断したり,術中迅速病理で診断しているのが現状であった.しかし,術中内視鏡も体位変換,食道壁の伸展が困難で,十分な診断は得られず,切除線の決定に難渋する.仮切除後に,切開した標本をルゴール染色したり,迅速病理診断の結果,追加切除することも時にはあった.
以上のような術中の切除線決定の混迷を避けるため,深達度の浅い食道癌に対する術中口側切除線の決定に関する筆者の方法を以下に述べる.
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