特集 施設別/新・悪性腫瘍治療のプロトコール
Ⅷ.甲状腺癌治療のプロトコール
(1)信州大学医学部第2外科
菅谷 昭
1
,
小林 信や
1
,
春日 好雄
1
,
増田 裕行
1
Akira SUGENOYA
1
1信州大学医学部第2外科
pp.219-225
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901694
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甲状腺に発生する悪性腫瘍は他臓器の固形腫瘍とやや趣を異にし,その病像はきわめて多彩である.なかでも,ホルモンの産生・分泌能を有する濾胞細胞や傍濾胞細胞(parafollicular cell:C cell)を発生母地とする甲状腺癌は,病理組織型や患者の年齢あるいは性別などの因子により,生物学的悪性度を含めた臨床病態に特徴的な差異を認め,それらは当然のことながら治療経過や予後に大きな影響を及ぼしている1).さらに,甲状腺の解剖学的位置関係より,その近隣には気管,上皮小体,反回神経,総頸動脈,内頸静脈,迷走神経,食道などの重要な器官が存在している.また,近年,臓器の機能温存や手術に伴う後遺症・合併症の予防,さらには美容上ならびにQOL(quality of life)の立場からみた外科療法の在り方などに関する論議も深まりつつある.したがって,このような状況を踏まえたうえで,甲状腺悪性腫瘍に対する治療を考える必要があり,本稿では教室における甲状腺癌の外科的治療を中心に,さらに治療方針に関連する種々の注意すべき問題点についても述べる.
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