私の工夫—手術・処置・手順・2
胃全摘に対する二重腸管形成移植術
紙田 信彦
1
1竹田綜合病院外科
pp.1318
発行日 1994年10月20日
Published Date 1994/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901655
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胃全摘後,十分に食べられることと,逆流性食道炎症状が少ないことは,患者のQOLの面から大事な問題である.そのために1980年より,食道との吻合に少し工夫をこらした小腸二重腸管形成移植術を行っている.
まず,Treitz靱帯より約25cmのところから,約45cmの有茎移植空腸を作成する.その口側30cmを折り曲げて,図-Ⅰのごとく腸管膜付着部より約1.5cm離れた側面で15cm長の吻合をしリザーバーとする.3-0バイクリル糸を用い,手縫いでAlbert-Lembertの連続2層縫合を行うが,前壁に設けた食道との吻合口は,最初から開けたままにしておく.この吻合口は,口側端から食道の口径ぐらい離したところに設けるようにする.(1987年までは,前壁縫合の口側端に吻合口を置いていた.)こうすることにより,二重腸管を食道に挙上固定するとき,余裕をもって行うことができる.また,食道端は患者側の右側をやや長めに残すように斜めに切る.結腸後に移植腸管を挙上し,食道と二重腸管との吻合を行う(図-Ⅱ).後壁はAlbert縫合を行うが,予め糸を8〜9針通してから結紮する.前壁も同様に行う.
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