My Operation—私のノウ・ハウ
胃癌に対する胃全摘術
武藤 輝一
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.231-237
発行日 1986年2月20日
Published Date 1986/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209258
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適応と手術
胃癌に対する胃全摘術の適応は施設によつて著しく異なるものではないが,細部については異なるところがある.癌が胃の上部(C),上中部(CM),上中下部(CMA)にあるときに行われるが,癌が胃の上部に限局し,しかも漿膜への浸潤もみられない場合には噴門側胃切除術の施行されることが多い.癌が胃の上部に限局し,しかも漿膜浸潤のみられない場合には幽門上下のリンパ節への転移のみられることはほとんどないからである.
癌が隣接臓器である膵に浸潤している場合は勿論のこと,浸潤はなくとも脾動脈幹リンパ節及び脾門リンパ節の確実な郭清のために膵・脾合併切除(膵体尾部切除と脾摘除)の施行されることが多い.脾摘については,脾門リンパ郭清のため脾摘が必要であるとする意見と,脾をできるだけ温存して免疫能の保持をはかろうとする意見とがあり,未だ意見の一致をみていない.現在これについてのrandomized studyが本邦ではじめられたばかりであり,5〜6年後には結論が出るものと思われる.従つてここでは膵・脾合併切除を行う胃全摘術について記述する.
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