特集 内視鏡外科手術における技術認定
胸腔鏡下手術,呼吸器外科における技術認定の現況と展望
河野 匡
1
,
岩﨑 正之
2
1虎の門病院呼吸器外科
2東海大学外科学系呼吸器外科学部門
キーワード:
胸腔鏡下手術
,
技術認定
Keyword:
胸腔鏡下手術
,
技術認定
pp.109-111
発行日 2003年4月15日
Published Date 2003/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900389
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はじめに
胸腔鏡下手術自体は100年以上の歴史を持つ手技であるが,近年行われるようになったモニター画面を見ながら行う胸腔鏡下手術は,たかだか15年程度の歴史を有するのみである.腹腔鏡下手術が発展するのにつれて胸腔内でも行われるようになった手術であるが,胸腔は骨性胸郭により,いわゆる「吊り上げられて」いる状態になっているため,腹腔鏡下手術のように気密にする必要がなく手術を行えるという利点がある.この利点のために,それまで標準開胸で手術を行っていた外科医にとっても,胸腔鏡下手術を比較的容易に開始できることになった.学会の発表を聞いたり,雑誌の論文を見たりして胸腔鏡下手術をはじめてみる.思うように手術ができない場合には,ポート孔をつなげたり創を拡げたり,あるいは開胸器をかけて標準開胸として手術を終了する.このようなことをくり返すうちに,胸腔鏡下手術手技が少しずつ上達してくる.したがって,呼吸器外科医にとって胸腔鏡下手術ははじめやすい手技である反面,自己流に陥りやすいし,また自己流の手術で,ある程度の満足を得られてしまう.そのため,講習会などを行ってみても,参加者は集まりにくい分野となっている.
今回,日本内視鏡外科学会で技術認定を行うことになり,胸腔鏡下手術もその1分野として認定されることになる場合,ほかの領域と著しく異なる技術認定基準を設けるのは整合性がとれない.
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