特集 術前・術後管理 '91
D.特殊病態患者の周術期管理
ウイルス性肝炎と周術期管理
浅沼 義博
1
,
佐藤 勤
1
,
小山 研二
1
1秋田大学医学部第1外科
pp.72-73
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900564
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■問題点の解説■
本邦における慢性肝炎の患者数は100万人以上といわれており,その大部分はウイルス性である.この肝炎ウイルスは,現在A型,B型,C型,D型,E型の5種類が発見されている(表1).このうちA型とE型は経口感染により急性肝炎として発症し慢性化しない.したがって,急性肝炎から慢性肝炎となり,やがて肝硬変,肝癌に進展するものは,B型,C型,D型の3種類である.ただし,D型肝炎ウイルスは単独では肝細胞内で増殖できず,B型肝炎ウイルス(HBV)の感染がある時にのみ増殖できる.すなわち,HBVと同時感染するかまたはHBVキャリアに重感染するかどちらかであり,臨床的には重症型,劇症型の肝炎となることが報告されている.したがって,外科手術の対象患者となり得るウイルス性肝炎としては,B型とC型ということになる.
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