特集 術前・術後管理 '91
A.術前評価・準備・処置
凝固・線溶系の評価と術前準備
石山 賢
1
,
渡邉 千之
1
1自衛隊中央病院外科
pp.36-37
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900548
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■手術と凝固・線溶■
止血機能が正常に働くことが手術療法に不可欠であることは言を待たないが,この正常な止血は幾つかの生理的反応系が同時に働いて得られる結果であり,凝固も線溶もそれらの反応系の1つである.この止血機能系を1枚のマップに表すとすれば,その中から血小板系,凝固系,線溶系,キニン—カリクレイン系,補体系,カルシウムイオンといったkey wordsを拾うことができるし,またその周辺にはカテコールアミン,プロスタグランディンなど,さまざまな系が活性化の誘因として存在する.したがって,手術侵襲,出血,疼痛,感染性合併症など周術期の激動する病態生理のなかにあっては,それぞれが極めて大きく変動して異常な検査値が得られる.ただし,それら個々の異常値のすべてが必ずしも止血機能の面からのみ考えなければならないというわけではない.
血液凝固(内因系および外因系)すなわちfibrin形成,さらに安定化fibrin polymerをつくるまでの過程と,線溶(fibrinolysis)は,損傷した血管や組織を修復して元通りにしようとする生体の合目的的な営みの1つである.
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