特集 術前・術後管理 '91
A.術前評価・準備・処置
乳幼児の術前管理
東本 恭幸
1
,
高橋 英世
1
,
大沼 直躬
1
1千葉大学医学部小児外科
pp.28-30
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900545
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■術前管理方針■
小児外科の対象となる患者のうち,特に新生児や乳児の低年齢層における腹部救急疾患ではその72〜75%が手術を要し,術前から厳重な管理を要することが多い.すなわち,幼少児ほど愁訴が不明確で状態の変化が急速であるため,常にすばやく全身状態を把握することに努め,状態の悪化に先んじて適切な処置を開始し,同時に正確な診断をつけていくことが必要となる1).新生児期〜幼児期にみられる代表的な小児外科疾患を表1に示したが,その診断方法などの詳細については成書を参照されたい.
幼少児の場合,類似の所見を呈していてもその原因となる病態はさまざまであり,また逆に同一の病態であっても,その症状や所見には症例によってかなりの差がみられる.それゆえ公式化された治療方法というものはないのであって,全身状態の評価,および病歴や検査所見から得られた情報を総合して,その時点で考えうる最善のten-tative programに従って術前管理を進め,患者の反応を十分feed-backさせて,こまめに軌道修正を行いながらその後の管理につなげるというダイナミックな治療方針2)が妥当である.
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