特集 乳房温存療法の実践
EDITORIAL
阿部 令彦
1
Osahiko ABE
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.277-279
発行日 1991年3月20日
Published Date 1991/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900387
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外科療法発展の歴史をふり返ると,患者の安全性,疾患の根治性,手術後遺症の軽減,機能の回復・温存,患者のquality of life(QOL)の向上の順に達成目標は進展してきた,とくに近年では,社会的needに応じて発展してきた技術革新が,それ自体社会環境,医療経済に重大な影響を及ぼすようになり,生存の科学が注目され,人間の尊重が改めて問われるようになった.加えて,現代の不透明かつ流動的社会は価値観の多様性を形成した.
この時代的趨勢は,乳癌の治療分野にも反映されている.すなわち,早期乳癌診断の進歩と相まってstage-oriented, individualized surgeryの実践を促進した.早期乳癌に対する保存的治療con-servative therapy for breast cancerは,このような経緯で発展してきた.その詳細は本特集の乳房温存療法の現状と問題点の項に述べられている.
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