特集 80歳以上高齢者の手術
EDITORIAL
出月 康夫
1
Yasuo IDEZUKI
1
1東京大学医学部第2外科
pp.159-160
発行日 1989年2月20日
Published Date 1989/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210277
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昭和62年簡易生命表によると,日本人男性の平均寿命は75.61年,女性の平均寿命は81.39年に達し初めて81歳を超えるに到った.また10万人の出生のうち65歳まで生存する者の割合は,男性では82.0%,女性では90.8%であり,80歳まで生存する者の割合は男性で45.8%,女性では66.2%であるという.さらに特定年齢の生存数を時系列でみると,40歳まで生存する者の割合はすでにプラトーに達しているのに対し,65歳まで生存する者の割合は,1955年の男性61.8%,女性70.6%から1987年までの32年間に男女とも20ポイント増加しており,80歳まで生存する者の割合は過去32年間に2倍以上となっている.平均寿命を諸外国と比較しても,わが国は遂にアイスランドを抜いて世界一の長寿国となったことが明らかにされている.80歳以上まで生きる者が少しも珍らしくなくなった昨今,本号の「80歳以上高齢者の手術」という特集の必然性が生ずる訳である.
人口の高齢化はまた死因にも変化をもたらしている.死因別死亡確率(人はいずれかの時期に,何らかの傷病(死因)で死亡するが,生命表上のある年齢の者が将来特定の死因で死亡すると思われる確率)をみると,0歳の男子は悪性新生物による死亡確率が最も高く25.49%,ついで心疾患19.56%,脳血管疾患15.98%であり,0歳の女子では心疾患23.13%,脳血管疾患20.20%,悪性新生物16.94%の順となっている.
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