特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
感染性心内膜炎
外科から
川副 浩平
1
,
藤田 毅
1
1国立循環器病センター心臓血管外科
pp.1603-1607
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900282
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感染性心内膜炎(infective endocarditis:IE)は,その根底となる重症感染症,弁膜の破壊に基づく進行性心不全,および疣贅による塞栓症の3つが互いに絡み合って複雑な病態を呈する難治性感染症である.本症の治療の基本が適切な抗生剤投与による感染の制御にあるとはいえ,内科的治療が困難であったり,重篤な合併症の発生が予想される場合は早期の外科治療を必要とする.
しかしながら本症においては,この「内科的治療が困難」であるという判断,あるいは「重篤な合併症の発生を予測」することが必ずしも容易ではなく,実際の臨床の場では実に様々な病状に対して外科的治療が行われている.ただ外科医からすると,優れた抗生剤が数多く市販され,開心術が安全に行われるようになった今日でも,本症の死亡率あるいは重篤な合併症の発生率が依然として高いのは,外科的治療導入のタイミングにも問題があるように思われるのである.そこで本稿では,IEにおける単独内科的治療の適応と外科治療の導入の適応について,外科医の立場から解説する.
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