特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
バセドウ病
外科から
菅谷 昭
1
,
増田 裕行
1
,
飯田 太
1
1信州大学医学部第2外科
pp.1557-1560
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900270
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バセドウ病は,その病因として,現時点では自己免疫異常,すなわち,甲状腺濾胞細胞膜のTSH受容体関連抗原に対する甲状腺刺激性自己抗体による自己免疫疾患としてとらえられ,近年,臨床的ならびに基礎的立場より多彩な研究が展開されつつある1)。しかし,なおいくつかの未解決な問題点が残されており,また治療法に関しては,特別目新しい変化もなく旧態依然たる状況である.
従来より行われている三大治療法,すなわち抗甲状腺剤治療,放射性ヨード(131I)治療,外科的治療は,本疾患の発症機序を免疫異常によると考えている限り,残念ながらいずれも対症療法であり,その目的とするところは,本症の臨床的寛解をいかに効率よく導くかにあると思われる.周知のごとく,各治療法にはそれぞれ長所と短所があり,最終的にどの治療法を選択するかは,多くの場合,治療にあたる医師の臨床経験や判断,および所属する医療機関の治療能力に基づいているのが現状である.
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