特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
原発性肝癌
外科から
滝 吉郎
1
,
山岡 義生
1
,
嶌原 康行
1
,
森 敬一郎
1
,
小澤 和恵
1
1京都大学医学部第2外科
pp.1461-1464
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900246
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肝動脈塞栓術(TAE)や腫瘍内エタノール注入(PEIT)などの保存的療法の進歩により,肝癌の予後は著しく改善されてきたが,肝切除が肝癌治療の第一選択であることは論をまたない.われわれは,ミトコンドリア機能を中心とした肝予備力評価法と適切な術前術後管理を確立し,その結果手術適応が拡大し,従来では切除不能と思われた症例にも積極的に手術を行い,手術成績も向上してきた1〜4).最近5年間の肝癌肝切除症例290例の累積生存率は,1年76%,2年64%,3年55%,4年42%,5年34%である.
しかし,このように積極的外科治療をめざしてきた当教室においても,種々の理由で手術を断念せざるをえない症例もあり,これには病状に応じた保存的療法を行っている.そこで,積極的外科治療を遂行してきた施設として,肝癌に対する保存的療法の効果と限界について検討を加えた.
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