特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
早期胃癌
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高橋 俊雄
1
1京都府立医科大学第1外科
pp.1388-1390
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900228
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近年のわが国の早期・進行胃癌を含めた全胃癌の手術後5年生存率は70%以上という施設も少なくない.この世界に誇るべき成績をつくりだした最も大きな理由は,手術によってほぼ確実に根治できる早期胃癌の増加がまずあげられる.すなわち,早期胃癌=外科手術という図式がもたらした結果である.
しかし,近年の内視鏡的治療の進歩は,この図式をあるいは変更するかも知れない勢いである.早期胃癌の内視鏡的治療が本当に外科治療に匹敵するだけの遠隔成績が得られるならば,患者にとってこれほどの大きな恩恵はない.しかし,外科治療を行えば根治できた早期胃癌を安易に内視鏡的治療を行ったために,患者を再発死に追いやるようなことは,決して許されるものではない.このような観点から,早期胃癌の内視鏡的治療の適応と限界については,内科側,外科側双方が十分納得できる規準が必要であろう.
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