特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
早期胃癌
内科から
大柴 三郎
1
,
平田 一郎
1
1大阪医科大学第2内科
pp.1384-1388
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900227
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消化器癌の治療は早期発見,早期手術につきる.このことは早期胃癌に関しても例外ではない.しかし近年,X線,内視鏡など胃癌診断学の目覚ましい進歩により,径数mmという微小胃癌が稀ならず診断されるようになってきた.そこで,最近の早期胃癌治療に対する考え方は,病巣の性状に応じて術式のうえでは縮小手術が提唱され1),さらに保存的治療の可否をめぐるところまで進展してきている.早期胃癌の保存的治療に対し,最近多くの関心がもたれ,学会でもよく取り上げられるようになってきた.高齢化社会に伴う高齢者早期胃癌例の増加もこれに拍車をかけているように思われる.また,高齢者に限らず重篤合併症による手術不能例に対しては,このような保存的治療法の確立が切に望まれる.
さらに前述したごとく,診断技術の向上による微小胃癌症例数増加の現況を考えると,“早期胃癌治療=外科切除”という原則論を再評価することはきわめて有意義なことと考えられる.実際このような観点から,早期胃癌の保存的治療に関する委員会が組織され,現在全国レベルでの検討が始められている.
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