一般外科医のための形成外科手技・20
手指の損傷に対する治療
梁井 皎
1
Akira YANAI
1
1順天堂大学医学部形成外科
pp.1003-1008
発行日 1990年8月20日
Published Date 1990/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900161
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
日常の外科外来診療において手指の外傷は頻繁にみられるものであり,外傷の程度は擦過傷程度の軽いものから手指の切断といった重症のものまで様々である.軽症例に対しては一般外科外来治療で十分に対応できるが,損傷が軽度にみえても実際には腱の損傷を伴っているもの,骨折を伴っているもの,あるいは手指の完全切断といったような損傷程度が大きいものでは専門医の治療に委ねる必要がある.一般外科外来で手指の外傷例の治療にあたるとき,専門医に紹介すべき症例か否かを的確に見きわめることが必要である.
手指の外傷の中で外来初診時にすぐに治療方針の選択を迫られるものに,皮膚欠損を伴った手指先端の外傷がある.手指先端の外傷の程度は様々であるが,手術が必要な場合には,受傷原因,手指切断の状態,治療計画に対する患者の希望などを総合的に考慮して治療法が選択される.
本稿では指尖部皮膚欠損を伴うものを中心として,手指の損傷の治療法を述べ,代表的な症例を供覧する.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.