胆道手術の要点—血管処理からみた術式の展開・1【新連載】
胆道手術に必要な局所解剖と血管損傷時の対処法
加藤 紘之
1
,
下沢 英二
1
,
児嶋 哲文
1
,
田辺 達三
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.1789-1792
発行日 1989年11月20日
Published Date 1989/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210563
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はじめに
胆道の手術は比較的古くから行われてきたが,その今日的課題は依然として山積している.胆嚢・胆管結石症の頻度はむしろ増加しており,従来手術が困難とされた胆管癌に対しても積極的な取り組みが行われつつある,この背景には超音波装置,CTスキャン,ERCP,PTCなどの画像診断法の進歩・普及が大いに寄与しており,疾患・症例によっては非手術的な治療法も開発されて順次取り入れられつつある.このような傾向に伴って,外科医に今日要求される課題は,良性疾患に対してはより安全で侵襲の少ない手術であり,一方,悪性腫瘍に対しては手術侵襲との兼ね合いの上に立って根治性の高い手術をさらに追求することである.手術の基本として局所の外科解剖を十二分に理解することがこれまで強調されてきたが,特に胆道系手術では,脈管,胆管とも複雑に走行し,肝臓と密接な相関関係を示し,それらの変異も多いことから,この点を常に認識し直して日々の治療にあたる必要がある.
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