胆道手術の要点—血管処理からみた術式の展開・5
上部胆管癌に対する肝門部切除術
加藤 紘之
1
,
下沢 英二
1
,
児嶋 哲文
1
,
田辺 達三
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.108-111
発行日 1990年1月20日
Published Date 1990/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900018
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はじめに
上部胆管癌は黄疸を初発症状とするため発見が早く,また比較的緩徐な発育様式をとることが多いので,適切な治療により根治性を高め得る1〜4).しかし,左右肝管分岐部からさらに肝内へ浸潤している例もあり,PTCDによる減黄を順調に行うことがまず治療の第一歩となる5).これによって肝予備機能の向上,胆管炎対策などを行いつつ,最も根治性が得られ,また耐術する術式は何かを検討することになる.手術術式は病変の拡がり,個々の症例の予備力などを細かく調べた上で選択されるべきものであるが,本稿ではまず肝門部切除術について述べる.
肝門部切除術は肝切除を行わず,肝門部より左右胆管をできるだけ肝臓側で切除し,再建する方法であり,肝予備機能不良例や高齢者に適応される.肝門部腫瘍の拡がりは肝側への非連続性進展例が多いことから,左右分岐部に腫瘍上限が及ぶような例では推奨されない.また,やや窮屈な術野の中で,肝動脈・門脈を温存しつつ,胆管が5〜6本に分岐するまで剥離切除をすすめることになる.
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