FOCUS
海外における手術技術評価の歴史から学ぶ—技術評価の現在と今後の課題
井垣 尊弘
1,2
Takahiro IGAKI
1,2
1静岡県立静岡がんセンター大腸外科
2東京科学大学消化管外科学分野
pp.1419-1426
発行日 2024年12月20日
Published Date 2024/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214772
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はじめに
1900年代に腹腔鏡下胆囊摘出術が施行されて以来,内視鏡外科手術は100年以上の歴史があり,その過程に手術手技評価の歴史がある.技術評価そのものは手の動きや鉗子の操作性をセンサーなどで数値化し手先の巧緻性を評価するところから始まったが,手術が進歩し手術技術を広い視点から評価するようになったことで,さらなる発展を遂げていった.
日本では1990年代に腹腔鏡手術が導入された.当初は内視鏡外科手術手技に関連した医療事故が多発し,マスメディアに大々的に取り上げられたため,内視鏡外科手術の発展に歯止めがかかるような動きもあった.そこで「安全な手術の普及と指導医の育成」が急務となり,一定レベル以上の技術や指導性を有する医師の認定制度が必要であるとの認識から,日本内視鏡外科学会(JSES)が2004年に内視鏡外科技術認定制度を発足させた.それは現在に至るまで内視鏡外科手術の安全な普及に多大なる貢献をしており,時代の変化に合わせて今もなお改定され続け,若手外科医の大きな目標となっている.本稿では世界の手術技術評価の歴史を紐解き,そのあり方を模索しながら,技術評価における課題について触れていきたい.
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