特集 飛躍への条件
事例・飛躍への条件
事例・14
今後の課題は海外医療協力に
井手 一郎
1
1聖マリア病院
pp.946-947
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207299
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病院開設の経緯
昭和23年2月1日,戦災の地に井手医院が再建された.父と従兄と私3人の協同経営である.実はその前に父が30年間当地で開業医として過ごしているが,この期間の地域の皆さんからの信頼が,その後の病院の発展の大きな基盤となったことは間違いない.再建された井手医院は幸いにして順調に発展,昭和27年3月県衛生部のおすすめにより医療法人設立,翌28年9月多数の在宅患者の収容のため現在地に79床の結核療養所を開設した.
開設の直後10月から,朝鮮戦争後の日本のインフレーションに対する強力な財政引締め政策の影響をまともに受け,惨たんたる経営状態に陥り,病院職員一同死力を尽くしてやっと脱出することができた.その間2か月半に及ぶ給料の支払遅延と分割支払が2年数か月にわたって続いたのであるが,しかしその困難の最中にあって従業員一同1名の脱落者もなく,患者さんと病院を守ってくれたのは,最大の心の支えであり,同時に病院のその後の発展を方向づけたものと思う.
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