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外科手術において手術デバイスは手技と並んで切り離せない重要なファクターですが,なぜか手術手技のトレーニングコースはあっても手術デバイスの使用法を教わる機会は外科医にはほとんどありません.ほとんどの外科医は,もともと病院にある機器の使い方を先輩から教わり,新しいデバイスの情報を学会で,時に各メーカーの営業の方より,その長所のみの情報を仕入れるしかありません.使ってみてわかる短所を他の外科医と情報交換する場所もありませんし,他の競合デバイスとの客観的な比較をする機会もありません.今回の特集の手術ロボットは手術デバイスの最も高性能かつ高額なものですが,エネルギーデバイスも,自動縫合器も,その基本原理やそれに沿った使用法を系統立てて教わった経験はほとんどの外科医はないはずです.どうしてなのでしょう? この大いなる疑問を解消するために,数年前から手術デバイスに関する教育について活動をしてきました.まず各手術デバイスを種類別に,その機能と価格を比較するカタログを2022年に出版しました.そして昨年より,私が理事であるNPO法人肝臓内視鏡外科研究会の主催として,日本内視鏡外科学会総会の企業展示ブースで,手術デバイスの各種性能をメカニズムに基づき正しく理解し,適切な使用法を学ぶためのハンズオンセミナー「手術デバイスマエストロセミナー」を開催しています.今年は福岡での開催ですが,20名のエキスパートの講師により10のテーマのデバイスに関するセミナーを行う予定です.学会に参加される方は是非のぞいてみてください.きっと,デバイスの使い方だけでなく,自分の手術のやり方を見つめ直すきっかけになるはずです.今回の本誌の特集は,「手術支援機器 百花繚乱!」と題して,ロボット支援手術の手技のコツだけではなく各機器の特長と違いを,全国を代表するエキスパートの先生が解説してくださっています.「デバイス情報=手術技術のうち」.是非これからのロボット支援手術の参考にしてください.
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