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あとがき
絹笠 祐介
pp.654
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213360
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今回の特集は側方リンパ節郭清についてでした.御存知の通り,(特に予防的な側方郭清は)欧米ではほとんど行われていない手技で,国内でも施行しない施設も未だ多い印象です.直腸癌のような症例の多い疾患で,これほどまでに治療方針が統一されていないのは珍しいことだと思います.本当は最も優れた治療法があるはずですので,患者さんにとって不幸な事態だと言えます.JCOG0212試験以外に,これまで大規模なRCTはなく,今後計画されている試験も,重箱の隅をつつくような試験ばかりです.
ではなぜ,このような状況になっているのか? その大きな理由の一つに,手技の難しさが挙げられます.難しいということは,上手な外科医が行えば良い成績になり,一方で下手な外科医が行えば,悪い成績になるということです.比べる対象が手術以外のものであった場合に,外科医の技術によって結果が大きく変わってしまいます.学会で見ていてもそう感じますが,実際にさまざまな病院で手術を拝見していると,側方郭清など下部進行直腸癌の手術は,まさにピンキリです.手術に関するエビデンス構築は本当に難しく,決してその結果を鵜呑みにできないことがわかります.
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