増刊号 すぐに使える周術期管理マニュアル
Ⅳ章 術後合併症とその管理
A 重点術後合併症の管理ポイント
肝不全
石井 隆道
1
,
海道 利実
1
,
上本 伸二
1
Takamichi ISHII
1
1京都大学肝胆膵・移植外科
pp.244-247
発行日 2019年10月22日
Published Date 2019/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212705
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症状
本項ではおもに肝臓手術後の肝不全について述べる.非肝臓手術後の肝不全も基本的に治療・対処法は同じである.
2011年にInternational Study Group of Liver Surgery(ISGLS)によって術後肝不全は「肝臓の合成機能,排泄機能および解毒機能が障害される状態であり,術後5日目以降でプロトロンビン時間が延長し,かつそれに随伴する高ビリルビン血症によって特徴付けられる」と定義された1).これは通常術後5日目以内には肝機能の回復が見られるという報告を元に定められており,広く使用されるようになってきている.一方,臨床経過からは慢性的に進行する肝不全も見られる.緩徐に凝固障害や高ビリルビン血症が進行してくるが,元の慢性肝障害に過大手術侵襲が加わり慢性肝不全として顕在化してくるものである.
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