FOCUS
直腸癌術前化学放射線療法後のWatch and See policy
中西 良太
1
,
小西 毅
1
Tsuyoshi KONISHI
1
1がん研有明病院大腸外科
pp.999-1004
発行日 2019年8月20日
Published Date 2019/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212576
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
近年,直腸癌に対する術前化学放射線療法(chemoradiotherapy:CRT)の普及により,完全奏効(complete response:CR)に至る症例が増えている.このような症例に手術は標準治療とされ施行されてきたが,直腸手術における肛門機能障害,排尿障害,性機能障害などの術後後遺症が患者の生活の質(quality of life:QOL)に重大な影響を及ぼす.さらに縫合不全などの合併症が一定の割合で発生する(表1).また,永久・一時的人工肛門による患者の満足度低下,人工肛門関連の合併症も問題である.
近年,術前CRTによりcCRに至った症例の全例に必ずしも手術が必要でないと考えられ始めている.Watch and See policy(W&S)は,進行直腸癌に対する術前治療によりcCRを得られた症例に対し,より積極的に非手術を選択する戦略であり,欧米を中心に,安全かつQOLの高い有効な治療法として注目されている.本稿では,直腸癌CRT後のW&S療法について解説する.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.