書評
—E. Christopher Ellison,Robert M. Zollinger, Jr.(原著) 安達洋祐(訳)—ゾリンジャー外科手術アトラス 第2版
森 正樹
1
1九州大学大学院・消化器・総合外科
pp.902
発行日 2019年7月20日
Published Date 2019/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212547
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「真を写す」と書いて「写真」というが,こと手術書においては写真による手術書はむしろわかりにくいことが多い.一方イラストによる手術書は,余分な情報を削ぎ落とし本当に読者に伝えたいことが線画として表現され,実にわかりやすいが,過剰にデフォルメされたイラストでは正確性に欠ける.『ゾリンジャー外科手術アトラス』は,「右ページの美しく忠実な線画と左ページの詳しい解説」を特徴とする,まさに理想の手術書であり,世界中の外科医のバイブルともいえる書籍である.このたび,その原書第10版が安達洋祐氏の手により訳され,日本語版としてわれわれの手元に届くこととなった.
本書は前版の原書第9版(日本語版初版)からカラー化され,さらに今回の第10版(日本語版第2版)はコンピューター・グラフィックスによる高解像度カラーで描かれており,もはや芸術的作品ともいえる出来映えである.さらにこの日本語版の素晴らしいところは,日本の医学を知り尽くした安達氏により,日本の実情に合わせた「訳注」が300カ所以上も追記されている点である.これはもはや訳書という範疇を超え,日本の外科医のために新たに書き下ろされた最新版と言っても過言ではない.
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