書評
—E. Christopher Ellison,Robert M. Zollinger, Jr.(原著) 安達洋祐(訳)—ゾリンジャー外科手術アトラス 第2版
土岐 祐一郎
1
1大阪大学大学院・消化器外科学
pp.1091
発行日 2019年9月20日
Published Date 2019/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212595
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手術は目で学ぶものなので昔から手術アトラスというのは外科医にとって最も大事な教科書である.われわれが研修医のころは「○○手術体系」という全40巻以上の大作があり,手術の前には図書館に行ってコピーしたものである.また,コピペのない時代なので手術所見を書くときはその中の絵を丁寧に模写し,それが手術の復習にもなっていた.
そして時代は進み最近は手術の動画が簡単にインターネットで見られるようになった.今更仰々しい手術書などいらないのではないか,この本もやや否定的な気持ちで開いてみた.500ページの中に実に150にも及ぶ手術の綺麗な線画と適切な解析が載っている.多くの術式は2ページに(最長は膵頭十二指腸切除術の18ページだがそれでも簡潔といえよう)まとまっており,動画を何分も見続けるより,ずっと容易に手術が理解できる.事典的に使うのであればインターネットよりはるかに便利だなというのが第一印象であった.しかし読み続けているうちに手術ビデオとの決定的な違いに気が付いた.
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