書評
Robert M. Zollinger, Jr./E. Christopher Ellison(著) 安達洋祐(訳)―ゾリンジャー外科手術アトラス
中川 国利
1,2
1仙台赤十字病院
2東北大学臨床・外科
pp.980
発行日 2013年8月20日
Published Date 2013/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104696
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私の本棚に古ぼけた“Zollinger's Atlas of Surgical Operations”がある.最後のページには1976年10月5日購入と記載されている.私が研修医時代に,薄給にもかかわらず大枚をはたいて買い求めた最初の本にして現在も愛読している本である.そして当時の指導医から強く薦められ,先輩研修医も持っていた憧れの本でもあった.
外科医は主に消化器疾患を対象とし,専門分野は消化管と肝胆膵に大きく分かれ,さらに消化管は上部消化管と下部消化管に,肝胆膵は肝臓,胆囊,膵臓に細分化されている.しかし,研修医は基本的には人間全てを対象として臨床を学ぶ必要がある.また私の専門は消化器外科であるが,研修医時代に「頭からつま先まで」全ての外科的疾患を経験したことが日常臨床では大いに役に立っている.“Zollinger's Atlas of Surgical Operations”は消化管や肝胆膵ばかりではなく,血管外科,婦人科,甲状腺,乳腺,ヘルニア,さらには腱縫合や皮膚移植まで記載されており,外科全体を網羅する手術書である.
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