書評
—Richard J. Hamilton(原著) 舩越 拓,本間洋輔,関 藍(監訳)—タラスコン救急ポケットブック
志賀 隆
1
1国際医療福祉大学救急医学
pp.323
発行日 2019年3月20日
Published Date 2019/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212404
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2002年の夏に那覇空港に東京から研修医が到着した.空港からバスに乗ってたどり着いた先は沖縄米海軍病院だった.研修医は米軍病院の救急部門で採用をめざして必死に実習をしていた.その際に,米国の救急医学レジデンシーを卒業したばかりの日焼けした指導医がパラパラとポケットブックをめくっていた.
「すみません.ちょっと私にも見せてもらえませんか?」とポケットブックを手にとった研修医はびっくりした.手のひらサイズのポケットブックの1ページ1ページにぎっしり情報が詰まっている.頭部CTの適応,頸椎画像撮影の適応から抗生物質の使い方,肺塞栓のプレディクションルールなど,まさにこれが「ERのミニマムリクワイアメントだ!」と研修医は思った.エビデンスの大事なところが見やすくコンサイスにまとまっている.しかも,日本のハンドブックにありがちな根拠文献のない「俺流」の列挙ではない.
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