--------------------
あとがき
橋口 陽二郎
pp.144
発行日 2019年1月20日
Published Date 2019/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212361
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
炎症性腸疾患の増加が叫ばれて久しいですが,いまだにその勢いは衰えず,もはやあまり稀な疾患ではなくなってきたような気がします.私が研修医の頃は,炎症性腸疾患はまだ稀な疾患であり,とくにCrohn病は希少性の高い,治療法の確立していない疾患でした.
大学での初期研修を終えて地方の病院で研鑽を積み始めた頃(30年前),1人の30代前半のCrohn病患者に出会いました.その頃は,腸管切除量を最小限にするという現在では常識のことがようやく確立しつつある頃でした.13歳で発症し,複雑な経過を経てすでに胃切除,結腸亜全摘術を受け,回腸S状結腸吻合部と腹壁の間に瘻孔が形成され低栄養状態となっていました.治療に難渋したあげく,東京のT先生にお願いすることになり,転院となりました.まもなくT先生から初発時からの詳細なデータをできるだけ集めて送ってほしいとの連絡があり,前医にもお願いして苦労して集めて送ったのを覚えています.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.