書評
—出雲雄大,佐藤雅昭(編)—仮想気管支鏡作成マニュアル—迅速な診断とVAL-MAPのために
池田 徳彦
1
1東京医科大・呼吸器・甲状腺外科
pp.1361
発行日 2018年11月20日
Published Date 2018/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212274
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近年,あらゆる領域においてCTが汎用され,一般的な検査としての意味合いが強くなってきたと感じている.呼吸器領域においては小型肺癌,特にすりガラス状の陰影は胸部単純X線では描出されず,CTが発見の契機になることが多々経験される.このようなことが早期肺癌増加の最大の原因であり,日常で遭遇する「肺癌像」は明らかに異なってきた.早期肺癌は予後良好であるが,気管支鏡で確定診断するためには腫瘍径が小さいほど苦労を伴う.手術に際しても根治と機能温存を両立することが期待されるため,胸腔鏡手術や縮小手術など高度な技術が要求される.また,CTですりガラスを呈する症例は術中に局在診断が困難な場合さえある.
CTで腫瘍の局在や性状,周囲への浸潤などを評価しつつも,最近では3次元画像を作成して種々の用途に用いるようになった.3次元画像で肺血管を描出することにより症例ごとの血管の走行が明らかになり,手術のシミュレーションに用いることが可能となった.手術ナビゲーションにも利用すれば手術安全に寄与すると確信する.小型陰影に対する気管支鏡診断の際には3次元画像による仮想気管支鏡画像を作成し,ナビゲーションとして利用することが必須であろう.小腫瘤の術中の局在同定にも術前のナビゲーションを併用した気管支鏡によりマーキングを行うことが有用である.
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