ひとやすみ・140
医療の差別化
中川 国利
1
1宮城県赤十字血液センター
pp.961
発行日 2016年8月20日
Published Date 2016/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211260
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27年間勤めた仙台赤十字病院は,仙台市郊外の丘陵にある.周囲は住宅地で商店は全くなく,バス路線の最終地に存在する.したがって近隣住民は買い物を兼ねながら市中心部の医療機関を受診し,治療を受けるためにだけわざわざ交通不便な病院を受診する患者は少ない.しかも勤め始めた頃は消化器内科医が少なく,院内紹介患者も少なかった.そこで手術症例を集めるため,他病院との差別化を図った.
手術を要する患者が紹介された場合,一般には外来で精査や全身状態の検査を行う.そして病棟や手術室と調整し,入院日を決める.そのため患者は複数回外来受診しなければならず,さらには入院日が決まらず予定を立てることが難しい.そこで私は紹介された患者には,初診日にできるだけ検査を行い,患者の希望日に手術を,さらには退院日までを決定した.そして手術前日に入院していただき,残りの検査を行い,手術に臨んだ.確かに無理難題も多々あったが,病棟や手術室など関係スタッフの理解と協力を得られたことが幸いであった.なお満床気味の際には入院患者に退院を積極的に促し,手術では時間を厳守するなど,日頃からスタッフの信頼を得ることにひたすら努めた.
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