特集 短期入所と通所サービスをめぐる課題
特集3
通所サービスをどう差別化するか
石川 誠
1
1医療法人近森会近森病院
pp.879-885
発行日 2000年11月15日
Published Date 2000/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688902088
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デイ・ケアの歴史
1941年に旧ソ連邦の精神神経科の診療所にてデイ・ケアが行われた記録が残っているが,それが世界で初めてのデイ・ケアと考えられる.精神科領域におけるデイ・ケアは老人を対象としたものに変化し,1958年オックスフォードにて老人対象のデイ・ホスピタルが開始された.その後デイ・ケアはヨーロッパ各国にて発展を遂げ,イギリスではデイ・ホスピタル,デイ・センター,デイ・クラブの3種類に分化した.かつてのヨーロッパ各国では老人ケアの中心は施設ケアであったが,施設ケアの限界に気づいた先進国は,施設ケアと在宅ケアの中間にデイ・ケアを位置づけ,在宅も施設もともに重要なケア拠点として再編成することを試みたのである.
我が国では,1953年に浅香山病院,1958年に国立精神衛生研究所にて精神科領域のデイ・ケアが開始された.その後,1974年に診療報酬制度にて精神科デイ・ケアが創設され,精神神経科領域のデイ・ケアは全国に普及していった.一方,高齢者を対象としたデイ・ケアは,吉田壽三郎が1962年に大阪市弘済院にて実験的に開設したことに始まる.しかし,その後15年以上の間,老人のデイ・ケアが国の制度として位置づけられることはなかった.
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