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はじめに
胃癌を含めたあらゆる固形癌において,癌の臨床試験における有効性データの評価には,個々の研究単位で作られる効果判定規準ではなく研究グループごとに共通の効果判定規準が用いられてきた.その中でも,1979年に世界保健機関(WHO)がWHOハンドブックとして公表し,1981年にMillerら1)によって誌上発表されたWHO規準が,世界中で最もよく使用される効果判定規準となった.しかし,WHO規準を用いるうちに様々な問題が明らかになり,その改訂版として1999年にRECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumours)が誌上発表された2).RECISTはWHO規準よりも簡便になったこともあって,画像による効果判定規準として世界中で頻用されるようになった(表1).しかし,これらの規準はあらゆる固形癌共通の規準として作られたものであるため,個々の癌種に最適化されたものであるとは言いがたい.特に胃癌においては,RECISTで用いられるCTやMRIでは原発巣の評価が困難であるため,胃癌取扱い規約第13版3)では,X線所見や内視鏡所見による独自の判定規準を採用していた(表2).
また,これら画像による効果判定規準以外にも,組織学的な効果判定規準も存在する.これは,CTやMRIでの評価と違って,癌細胞の壊死・融解・変性の程度に基づく判定規準であり,より直接的な指標として,おもに術前補助療法の評価において頻用されている(表3)3).ただし,組織学的な効果判定を行うには,外科的切除による組織標本が必要であるため,CTやMRIのような非侵襲的な診断法とは根本的に利便性が異なり,また非切除症例での適応が不可能という問題点も指摘される.
このように,術前補助療法の腫瘍縮小効果の判定規準には様々なものが存在するものの,あらゆる癌種において最適であるといえるような規準はないため,癌種ごとに検討する必要がある.
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