昨日の患者
アジアからの来日花嫁
中川 国利
1
1宮城県赤十字血液センター
pp.474
発行日 2015年4月20日
Published Date 2015/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210714
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結核はかつて国民病と言われ,樋口一葉や正岡子規をはじめ若くして多くの人が亡くなり,死因の第一位であった.現在では罹患患者は少なくなったが,いまだ結核既往歴を有する老人や若者,とくに東南アジアから来日した若者に結核が多発している.
20歳代半ばのGさんが,大量下血を主訴に緊急入院した.Gさんはフィリピンから,嫁の来ての少ない東北地方の農村に花嫁として来日したばかりであり,日本語の会話はたどたどしかった.40歳前後の夫はおろおろするだけで,付き添う同じ境遇の女性の通訳により病歴を聞き出した.Gさんの出身地では結核が蔓延し,姉妹や親戚には結核による喀血死が多発していた.そしてGさん自身も喀血が生じていたが,来日したばかりで言葉も通じず,一人悩んでいたとのことであった.
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