特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
肛門部・その他
肛門周囲膿瘍に対する一期的根治手術
隅越 幸男
1
Yukio SUMIKOSHI
1
1社会保険中央総合病院
pp.964-965
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210089
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肛門周囲膿瘍はいろいろな原因で発生する.すなわち,せつ,よう,粉瘤,汗腺などの肛門周囲皮膚ならびに皮下組織に関連した炎症からもおこるが,痔瘻の前段階としての膿瘍は,細菌や汚物の侵入口である肛門小窩との連絡が必ずあるものである.
従来一般にいわれる肛門周囲膿瘍の治療としては,抗生剤の投与より膿瘍の拡がりを早くくいとめるために,まず切開排膿を行い,瘻管状になったところで,原発部位を確認してそれを切除し,瘻管の開放ないし切除を行うという方法がとられているが,原発口の部位が確認されれば,一期的に手術を行うことは可能であり,膿瘍壁はやわらかであるのでその切開開放と,原発口,原発巣の切除を確実に行えば,早くきれいに治癒する.
膿瘍が後方にある場合はよいが,側方に大きく発生した場合は,その原発口が側方にあるのか,後方にあるのかはっきりしないことがあり,この場合は慎重を要する.
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