特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
肛門部・その他
一次口不明の痔瘻手術
隅越 幸男
1
Yukio SUMIKOSHI
1
1社会保険中央総合病院
pp.966-967
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210090
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痔瘻の手術でもっとも基本的なことは,原発口および原発巣の除去である.再発例をみるとその90パーセント以上は,原発口の遺残である.したがって如何なるタイプの痔瘻でも,術前に瘻管の走行,タイプと原発口の確認を行うことが重要なことである.
痔瘻の60パーセントを占める低位筋間痔瘻では,その原発口は後方に多いが,肛門のどの部分にも存在する.しかし高位筋間痔瘻の複雑型や坐骨直腸窩痔瘻では,そのほとんどが肛門の後方のクリプトである.それらは主として示指による触診,直腸診およびクリプトフックを用いることによって,術前におよそ見当がつくものである.しかし場合によっては,原発口がはっきりしないことがある.その場合でも瘻管の走行をみて,原発部位の想像はつくので,手術の際にはその近くのクリプトを切除し,掻爬すればまず間違いない.原発口を確認するために,二次口からメチレンブラウなどの色素剤を注入する必要はなく,指による触診がもっともよい.
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