特集 術後1週間の患者管理
膵頭十二指腸切除術
尾崎 秀雄
1
1国立がんセンター外科
pp.557-561
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207664
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膵頭部癌,膨大部領域癌に対する膵頭十二指腸切除は,とくに前者においては術前一般状態が不良の症例が多く,かつまた,平均余命の延長と共に高齢化している.従つて,術前一般状態の改善をはかるべく,低蛋白血症には蛋白の補給,ketosisにはブドウ糖とインシュリンの点滴注射,高齢者では減黄処置で十分に黄疸をさげておく必要があり,またビタミンK剤の投与,出血傾向に対する処置等が必要である.膵頭十二指腸切除の術後は一般上腹部外科手術と変わるところはないが,あえてその特異な面をあげるならば,手術時間が長くなること,吻合部が多いこと,とくに膵腸吻合部に面倒な問題がおこりやすいことである.
術後合併症として,縫合不全,消化管出血,肺炎などが多くみられるので,これらに焦点を合わせて経過をみる必要がある.
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