綜説—今月の臨床
膵頭十二指腸切除後の再建術式の選択
上野 富雄
1
,
鈴木 敞
1
1山口大学医学部第2外科
pp.1331-1336
発行日 1994年10月20日
Published Date 1994/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901657
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Ⅰ.はじめに
膵頭十二指腸切除後の再建法は,今なお学会においても議論され,統一した見解が得られていないのが現状である.それぞれの施設の伝統や哲学に裏づけられた成績,その術者のさまざまな経験による考えの集大成が再建に表現されるからであろう.
膵頭十二指腸切除後の消化管再建法を論じる際,従来の縫合不全や胆管炎の発生を中心とした術後合併症の問題に加え,現在では術後の消化吸収状態,消化管ホルモン動態,酸分泌状態(吻合部潰瘍の問題),胃内容排出状態を含めて,より良い術後のQOLを配慮した再建法を選択することが時代の要請となりつつある.
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