特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
膵臓
急性膵炎のドレナージ手術—膵授動兼膵床ドレナージ術
原田 昇
1
,
江藤 敏文
1
Noboru HARADA
1
,
Toshifumi ETO
1
1長崎大学医学部第2外科
pp.946-948
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210082
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重症急性膵炎に対する手術術式としては,主として膵周囲ドレナージ術や膵切除術があげられるが,わが国では前者が多く採用されている.膵周囲ドレナージ術のうちでも膵授動兼膵床ドレナージ術は最も徹底したドレナージ操作を行うものであり,本術式では膵を後腹膜より授動した後,膵床および腹腔内にドレーンを設置する.本術式の目的は,後腹膜腔および膵自体の減圧をはかること,さらに膵炎ショックの主要因と目される活性化した膵酵素の後腹膜神経叢や副腎への直接の影響を遮断し,病態の進行を阻止することである.教室で膵授動兼膵床ドレナージ術を施行した36症例についてその治癒率をみると,他病死例を除く33例中28例,85%であった.教室の重症度分類に従って治癒率をみると,Ⅱ期86%,Ⅲ期80%と良好であった.術後合併症としては腹腔内膿瘍に伴う消化管通過障害が最も多く,その他,膵液瘻,仮性嚢胞,消化管出血,膿瘍結腸瘻などがみられた.
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