特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
胆道
胆嚢癌に対する肝床・胆管合併切除術
吉田 奎介
1
,
川口 英弘
1
,
武藤 輝一
1
Keisuke YOSHIDA
1
,
Hidehiro KAWAGUCHI
1
,
Terukazu MUTO
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.896-899
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210066
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胆嚢癌の根治手術にあたって,1.周囲臓器への直接浸潤特に肝浸潤(Hinf),2.肝十二指腸間膜への浸潤(Binf),3.リンパ節転移(N)の3要素が術式選択のポイントである.これらの進展様式は癌の壁深達度によって左右され,教室の切除例でのリンパ節転移率は,漿膜下層までの癌(ss癌)で46.7%,漿膜を越える高度進行癌では87.5%であった.さらにss癌であっても胆嚢頸部より胆嚢管にかけて存在する場合には転移率は75%と高く,2群(37.5%),3群(6.7%)への転移も認められた.このような例ではBinfの因子も加わり,膵頭十二指腸切除や肝切除を含む拡大手術が必要である.ここでは基本術式として胆嚢に限局するss癌で,肉眼的に第2群リンパ節に転移がないものに適応となる肝床切除と肝外胆管切除を含む2群リンパ節郭清について述べる.郭清とともに胆嚢の全層を肝十二指腸間膜内間質を含めて可及的にen blocに切除することを目標としている.
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