特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
胆道
血管切除を伴う肝門部胆管癌手術
尾形 佳郎
1
,
菱沼 正一
1
Yoshiro OGATA
1
,
Shoichi HISHINUMA
1
1栃木県立がんセンター外科
pp.889-891
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210064
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上部胆管癌,特に肝門部癌では解剖学的位置関係から,門脈分岐部は肝管分岐部の背側にあるため容易に浸潤をうける.上腸間膜動脈造影の門脈相から門脈浸潤を診断するが,門脈第1枝から閉塞して同側の肝葉萎縮を来している症例や狭窄像を呈する症例では診断は容易であるが,実際には軽度の圧排,偏位を示し手術時まで判明しない症例が多い.肝動脈は門脈よりも肝から離れて分岐するため分岐部で浸潤をうけることは少ないが,右肝動脈は総肝管の下で,門脈右枝の前面を通るため浸潤を受け易い.肝門部癌では肝管浸潤の長い側の肝葉切除か肝門部切除が術式となるが,血管合併切除となる症例は全例肝葉切除例であった.肝葉切除側で対側に血管浸潤があり,ある程度治癒が期待出来る症例がその適応である.
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