特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
食道
両側頸部リンパ節郭清の範囲と手技
鶴丸 昌彦
1
Masahiko TSURUMARU
1
1虎の門病院消化器外科
pp.708-710
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210001
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頸部食道癌に対しては以前より喉頭や内頸静脈などを含んだ広汎な両側頸部郭清が行われていたが,最近は胸部食道癌に対しても両側頸部郭清を行う傾向にある.これはリンパ節シンチグラフィーで頸部リンパ節が食道のリンパ流の中で意外に近い位置に存在していること,頸部リンパ節転移が認められてもこれらを郭清する事により根治性がえられることがあることなどによる.われわれは現在までに胸部食道癌126例に頸胸腹3領域郭清を行ったが39例(31.0%)に頸部転移を認めた.右旁食道(右反回神経沿い,101(r))15.9%,左旁食道(左反回神経沿い,101(l))8.7%,右鎖骨上窩(104(r))9.5%,左鎖骨上窩(104(l))6.3%の転移率で,頸部転移の約90%がこれらの範囲内に限られていた.よって頸部郭清では,これらの範囲を重点的に郭清する.
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