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綜説
肝門部胆管癌の集学的治療—肝門部胆管切除,腔内照射,特異的化学療法の提唱
A new strategy for hepatic hilar bile duct cancer; Resection with specific chemotherapy and intracavitary irradiation after surgery
小山 研二
1
,
田中 淳一
1
,
嘉藤 茂
1
,
浅沼 義博
1
Kenji KOYAMA
1
1秋田大学医学部第1外科
pp.1813-1818
発行日 1987年11月20日
Published Date 1987/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209864
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はじめに
肝管癌,上部胆管癌を中心とする肝門部胆管癌に対する手術は,明らかな肝浸潤のない例には,従来,胆管切除兼胆管空腸吻合術が多く行われ,肉眼的には十分に切除されているにもかかわらず予後は著しく不良であつた1,2).著者らは,かつて肝門部胆管癌の予後規定因子について報告3)したが,癌腫の肉眼型では乳頭型,組織型では乳頭状腺癌が切除後2年以上生存する頻度が高いとの成績であつた.その理由は,それらの大部分には胆管周囲のリンパ管,静脈,神経周囲への癌侵入,いわゆる脈管侵襲がないか,または,ごく軽度にしか認められないためと思われた.これは脈管侵襲のみられる例に2年以上生存例が僅かであることからも明らかである.また,胆管切離端に癌の遺残があれば当然その予後は不良であるが、胆管壁粘膜に異常がなくとも胆管周囲の脈管侵襲が癌遺残の理由である場合が多かつた.肝門部胆管癌例の脈管侵襲は,60%〜70%と高頻度にみられ,非癌側肝内胆管周囲にも及んでいることが少なくないため,単なる胆管切除はもちろん,胆管とともに肝切除を行つてもそれのみで予後が飛躍的に改善されるものではない.この重要な予後規定因子である脈管侵襲と胆管切除断端癌遺残に対する適切,有効な補助療法が極めて重要で,それなしに肝門部胆管癌の予後を改善することは困難である.
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