Japanese
English
境界領域
両側下肢動脈に腫瘍塞栓をきたした慢性骨髄性白血病の1例
A case of chronic myelogenous leukemia (CML) with acute arterial occlusion in both lower extremities
小代 正隆
1
,
竹之下 満
1
,
山角 健介
1
,
川崎 雄三
1
,
島津 久明
1
,
松元 実
2
Masataka OJIRO
1
1鹿児島大学医学部第1外科
2鹿児島大学腫瘍研究施設
pp.1705-1709
発行日 1987年10月20日
Published Date 1987/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209848
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はじめに
急性動脈閉塞には塞栓と血栓があるが,塞栓症は,塞栓子が血管内腔を閉塞させるものである.塞栓子には血栓,組織片,脂肪,空気,異物などがあるが,その多くは原疾患があり,合併症として発症する.通常,その85〜95%は心疾患で,僧帽弁狭窄症や,心房細動,急性心筋梗塞である.腫瘍による血栓は静脈に多いが,動脈腫瘍塞栓はきわめてまれである.しかもその多くは,固型腫瘍が肺や血管に浸潤して起こつている.悪性腫瘍が動静脈に血栓を起こしやすいことは,臨床的,病態生理学上,周知の事実である1).しかしそれは凝固異常によるものが主体である.白血病も悪性腫瘍ではあるが,その凝固異常としては出血が多く,急性白血病に多い.白血病で急性前骨髄性(APL)は,びまん性の血栓,すなわちdisseminated intravascular coagulopathy (DIC)で注目されるが,慢性骨髄性白血病(CML)では凝固異常は比較的少ないとされている2).
われわれは膝窩動脈および反対側の浅大腿動脈,内腸骨動脈に,ほぼ同時に急性動脈閉塞を来たして,始めてCMLと診断され,興味ある経過をたどつた症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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