Japanese
English
文献抄録
羊胎児における横隔膜ヘルニアの作製と修復—Ⅱ型肺胞細胞の形態について
The creation and repair of diaphragmatic hernia in fetal lambs
韮沢 融司
1
1慶応大学医学部外科
pp.1401
発行日 1986年9月20日
Published Date 1986/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209527
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
先天性横隔膜ヘルニア(CDH)は,最近の新生児管理の進歩にもかかわらず,いまだ,新生児死亡の主因のひとつとなつている.その死亡率は60%以上といわれ,死因は,発達途上にある肺を胸腔内に脱出した腸管が圧迫しておこる肺低形成による呼吸不全である.一方,未熟児呼吸窮迫症候群での肺成熟度とⅡ型肺胞細胞との関連が強く示唆され,羊胎児を用いた正常Ⅱ型肺胞細胞の研究がなされている.そこで,羊胎児に胎児手術を行い,横隔膜ヘルニアを作製して,Ⅱ型肺胞細胞の形態学的特徴を検討した.
実験材料は9頭の羊胎児である.3頭は対照群とし,6頭に,在胎72日から82日目に胎児手術で左横隔膜ヘルニアを作製した.CDH作製6頭中3頭に,在胎106日から112日目にCDHの修復を行い,在胎140日から145日の満期まで発育させて帝王切開で出生させた.出生児は,出生直後,自発呼吸の始まる以前に実験に供された.経気管支的にグルタアルデハイドを注入して肺を固定し,開胸で両側上葉の肺末梢組織を摘出,電顕標本を作製した.電顕写真でⅡ型肺胞細胞の細胞,核,層板小体(lamellar body)を計測し,比較のパラメーターを算出した.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.